従軍日誌

捜索は組織表が載っている従軍日誌をよく見るようにしています。
出征された時期や出身地、所属された軍隊名等を特定出来れば
絞れることもできるからです。
それにはかなりの時間を必要とされますが何かしらの
きっかけがひとつでも見つかれば、今まで全く動かなかったことも
ご遺族捜しへ解決へと一気に展開が変わっていきます。

また従軍日誌とは全く異なった、個人的な日記もあります。
今日、ご紹介するのは私のお気に入りの一冊です。
これは高知から出征された父親が遠く離れた戦地から
愛するお子さんへの想いを日々綴られた日記です。

1957年米兵がニューギニアの戦場で日本兵であった
父の亡骸から日記を見つけ、それを日本のご遺族に返還され
アメリカのリーダーズ・ダイジェストにも取り上げられました。

日本語版では、アメリカは案外に近かった!/倉橋 睦
と、娘さんの名前が載っています。

1957年、1月20日付のThe Indianapolis Starにも掲載され
当時かなり有名なエピソードだったそうです。

中にはこの本を読まれ感動しギリシャ語に翻訳し出版もされた方や
ネットでは、2003年出版のChristina Klein 著
”Cold War Orientalism, Asia in the Middlebrow Imagination, 1945-1961”
この論文に睦さんの父上の日記のエピソードが引用されてもいます

「America Seems Near to Me Now」
Asia in the Middlebrow Imagination, 1945-1961 Christina Klein.
them to put the ideal of international commitment into practice.
In 1957, for instance,
Reader’s Digest published an article that invited readers to cultivate
mutual understanding between the U.S. and Japan.
“America Seems Near to Me Now,”
a first-person story written by Mutsumi Kurahashi,
told how a former GI had brought her family great peace of mind
— and good feelings toward the United States — when he returned …

日記はあるアメリカ兵が戦利品として持ち帰り、戦後の昭和31年
大方町のご遺族のもとに届けられました。
高知新聞連載「祖父たちの戦争」(南海支隊の生き残り兵士の記録)
にも載りました。
https://www.kochinews.co.jp/article/164093/
※読まれるには会員登録(無料)が必要

そのお父さんの日記を自費出版したのが娘さんの花井 睦さん。
花井 睦さん編「父が残した戦場日記 ニューギニアから故郷土佐へ」
滅多に本を購入しない私が大切にしている本です。

第59回「高知県出版文化賞」を受賞されています。

2013年8月25日放送の24時間テレビ では
http://www.ntv.co.jp/24h/history/36.html
「日本人18万人が命を落とした戦場 生涯をかけて守った友との約束」

オーストラリアの学校で教材にもなっているという西村幸吉さん宅に
相葉雅紀さんがお訪れ、太平洋戦争のニューギニアの戦いに出征した
西村さんは半年間戦い続けた。
2ヶ月分の食料しか持って行かなかった日本兵は飢えとの戦いにも苦しみ、
西村さんは出兵当時73キロあった体重が帰国時には28キロしかなかったという。
西村さんの戦友・倉橋一美さんの娘の睦さんが毎年行われるパプアニューギニアで行われる慰霊祭に参加していた。
戦後、一美さんの日記が睦さんに届けられ父の思いを知ることができたという。
そして最後の日記に「子ども見たし」と綴った一美さんは、帰らぬ人となった。

戦場という過酷な地でも、息絶えるまでお子さんの事を想い綴った日記です。