https://www.chunichi.co.jp/article/130902
太平洋戦争中に旧日本軍の兵士が戦地に残した遺留品を巡り、米国のNPO法人から岐阜県下呂市に返還された日章旗の持ち主は、フィリピンで戦死した同市出身の松嶋健一さんとみられることが分かった。戦地から遺族に届いた遺品は一つもなく、長男の村夫さん(87)は「父がやっと帰ってきたような気がする」と感慨深げに話した。 (吉田幸雄)
日章旗は、米国イリノイ州在住のジャガード千津子さん(68)が代表を務めるNPO法人「キセキ遺留品返還プロジェクト」が保管していた。寄せ書きの名前をインターネットで調べたところ、下呂市の住民の名前が出てきたため、五月に市役所にメールで知らせた。
六月、市に届いた日章旗には「武運長久」という言葉とともに、七十七人分の寄せ書きがあった。その名前は上原小学校区に多かったため、市教委は二日、同校で日章旗を紹介。地元に住む田口操さん(92)が「自分が十七歳だった頃、この寄せ書きをした。日章旗を贈った相手は松嶋健一さんだ」と名乗り出た。